農林水産省は、2013年度から5年間の技術開発の方向性を定める「農業農村整備に関する技術開発計画」の骨子をまとめた。3月に閣議決定した「土地改良長期計画」(12〜16年度)で定めた政策目標に対応した七つの分野を設定し「地震時のコンクリート水路目地部の損傷防止と対策技術」「放射性物質に汚染された農地の除染・除塩技術」「紫外線による水路補修材料の劣化予測のための試験方法」などの具体的な技術開発のテーマを示している。
技術開発計画では、土地改良長期計画に盛り込まれた▽水田の大区画化・汎用化▽土地改良施設の耐震化・津波対策▽農地や農業水利施設の迅速な復旧▽農業水利施設の戦略的な保全管理▽再生可能エネルギーの導入・促進―などの7分野を重点的に取り組む技術開発テーマと位置付ける。
東日本大震災の被災地向けでは、市町村の農地・農業用用排水施設の復旧の迅速化や低コスト化に貢献する技術開発を進める。具体的には、設計条件を超える津波による越波でも破壊しない海岸堤防の整備技術のほか、放射性物質に汚染された農地などの除染技術や保全管理技術、農地に侵入した海水塩分に対する除塩技術などの実用化・事業化を図るとした。
土地改良施設の耐震強化や津波対策に対しては、広域連動地震を想定したダム・ため池などの改修・補強対策における耐震性と被災リスク評価手法、津波に強い盛土構造物の土地改良施設への適用技術などの技術開発に取り組む。地震時のコンクリート水路目地部の損傷防止と対策技術、ため池などの盛土斜面のせん断強度を原位置で計測可能な試験技術などを開発するとしている。
農業水利施設の保全管理は、施設更新のニーズが増加していることから、技術開発にも重点的に取り組む。紫外線による水路補修材料の劣化予測のための試験方法の実用化を目指すほか、小規模コンクリート水路の簡易点検・診断・補修マニュアルなどを作成するとしている。
提供:建通新聞社