国土交通省は、住宅・建築物の新たな省エネルギー基準案をまとめた。一次エネルギー消費量を指標として用い、外皮の断熱性能に加え設備性能や再生可能エネルギーの利用も含めて、建物全体の省エネ性能を総合的に評価できる基準に改める。1999年基準相当の外皮性能と標準設備の設置で達成できる水準とする。関係告示を12月初旬まで公布する方針だ。
1999年に制定された現行の省エネ基準は、▽外皮の断熱性や設備の性能を建物全体で一体的に評価できず、建築主や購入者が建物の省エネ性能を客観的に判断しにくい▽太陽光発電など再生可能エネルギーの導入による省エネ効果が適切に反映されにくい―といった運用上の課題が指摘されている。
今回の基準案では、こうした課題に対応するため、断熱性能に加え、設備性能や再生可能エネルギーの利用も総合的に評価できる基準とする。例えば、住宅の場合には、外皮の断熱化、躯体蓄熱、調光、照明制御、節湯型器具の採用、浴槽の断熱化、設備効率の向上、太陽光発電設備の設置といった省エネ手法を組み合わせた際に、満たすべきエネルギー消費量を基準として定める。
これとは別に、外皮が満たすべき熱性能に関する基準も設定。外皮表面積当たりの総熱損失量による基準を採用するが、性能の水準そのものは現行(99年基準)と同程度に据え置く。
国交省は基準案に対する一般からの意見を11月7日まで募集している。
提供:建通新聞社