文部科学省は、3日に開いた「国立大学等のキャンパス整備の在り方に関する検討会」に最終報告書の骨子案を示した。近年のキャンパス整備をめぐる課題と要請を踏まえ、省資源・省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入、防災機能の強化、保有資産の有効活用などの視点を取り入れるとした。長期的視点に立ったキャンパス全体計画を策定する必要性も指摘している。
骨子案では、東日本大震災の教訓を踏まえ、電力供給力の減少に対応した省資源・省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入を図るとしたほか、災害発生時の地域住民の利用を考慮して防災機能を強化する方針も示している。
大学付属病院では、災害時の救命救急医療拠点としての機能確保も進める。沿岸部に位置するキャンパスでは、津波被害を抑える避難経路を整備することも提言している。
国立大学などが利用している土地は、利用の固定化などでスペース拡大の要求が恒常化しやすい傾向にある。こういった状況を回避するため、未利用だったり、利用率が低い土地・建物をコスト意識を持って有効活用する必要性を示した。
国立大学法人化以降に、自主的・自立的な財源を活用した施設整備が増えた一方、キャンパス全体の統一性や個性の確保も課題になっている。骨子案では、各大学の将来ビジョンを踏まえ、長期的視点に立った全体計画を策定することも求めた。
検討会は、ことし6月に文科省が策定した「大学改革実行プラン」に、大学機能の充実や再構築を進める方針が打ち出されたことを受け、8月に設置された。2013年3月にまとめる報告書には「キャンパス整備計画指針」や「キャンパス性能評価システム」などを盛り込む見込みだ。
提供:建通新聞社