国土交通省は、東日本大震災の被災地と被災地以外の建設業によるJV編成を可能とする「復興JV制度」の適用対象を拡大することを決めた。これまで予定価格5億円程度としていた対象工事の上限額をWTO対象とならない金額(特定JV対象工事は除く)に引き上げる。また、1社が同一機関に登録できるJVの数を最大2から3に増やす。こうした考え方を10月1日付で「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」の関係機関に通知した。来週中に運用通知を発出し、即日施行する方針だ。
復興JV制度は、大震災の被災地で技術者不足が深刻化し、入札不調が相次いだことを受けて、国交省が本年2月に被災3県(岩手・宮城・福島)で試行を始めた。当初は比較的小規模な工事での入札不調が目立っていたため、予定価格5億円程度を試行対象の上限とした。ただ、宮城県などでは依然として入札不調の割合が高く、予定価格3億円以上の工事でも不調となるケースが出てきている。
今後、復旧・復興工事の発注が本格化すれば、さらに入札不調が増え、円滑な施工の確保に支障をきたす恐れもある。こうした懸念を背景に国交省は、復興JVの活用を促進する観点から制度を見直すことにした。
対象工事の拡大に当たっては、その上限額を予定価格5億円程度から「WTO対象とならない額」に引き上げる。WTO対象工事は、国が5億8000万円以上、地方が19億4000万円以上の案件となっており、特に自治体発注工事で対象が大幅に増えることになる。ただし、特定JV対象工事は除外する。
また、1社が発注機関ごとに結成・登録することができるJVの数について、発注機関が特別に認める場合の上限を2から3に拡大する。
提供:建通新聞社