トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2012/10/01

労働災害増加で厚労省が緊急要請

 厚生労働省は28日、労働災害の増加に歯止めがかからないことを受け、建設業労働災害防止協会などの労働災害防止団体3団体を本省に呼び、労働災害の減少を緊急要請した。労働基準局の宮野甚一安全衛生部長は「労働災害の増加には、厳しい経営環境の中での安全衛生管理体制の劣化があると懸念される」と述べた上で、「いかなる経済情勢下にあるとしても、労働災害は本来あってはならない」と安全管理体制の充実を強く求めた。
 労働災害の発生件数は長期的には減少傾向にあったが、10年と11年に2年連続で増加した。2年連続での発生件数の増加は33年ぶり。12年に入っても労働災害の増加は止まらず、8月末時点で前年同期比7・9%増となり、3年連続の増加が憂慮される事態にある。
 建設業では、東日本大震災の復旧・復興工事の影響などもあり、12年1〜8月期の死傷災害(死亡災害と休業4日以上の死傷災害)が9695件発生し、前年同期から6・7%増加している。死亡災害について見ると、10年・11年と連続で減少したものの、12年1月〜8月は前年同期と比べ27・3%増の233人と増加傾向に転じている。
 厚労省は、こうした傾向を極めて憂慮すべき事態と考え、中央労働災害防止協会、建災防、陸上貨物運送事業労働災害防止協会の3団体を呼び▽安全衛生管理体制の充実▽個々の労働者の状況に即した安全衛生教育の実施▽「見える」安全活動など創意工夫した効果的な自主的安全衛生活動の実施―を要請。
 宮野安全衛生部長は3団体に対し「10月には全国大会も開かれるということのなので、会員と危機意識を共有してほしい」と述べるとともに、「労働災害による犠牲者をこれ以上出さないという強い決意のもと、企業の安全衛生活動をいま一度総点検してほしい」と述べ、労働災害防止の徹底を求めた。
 同省は、労働災害防止団体だけでなく、関係する事業者団体と労働組合にも、同日付で同じ趣旨の通知を送付している。

提供:建通新聞社