厚生労働省は、シックハウス対策として2002年に設けた「室内濃度指針値」を見直す方針を固めた。指針値の設定から10年が経過し、指針値が設定されていない新たな化学物質も代替として使用されており、対応を図る必要があると判断した。世界保健機構(WHO)の室内空気室の基準値など国際的な動向との整合を図る必要もある。12年度末まで業界からのヒアリングなどを行い、13年4月以降に物質ごとの指針値を検討する。
化学物質による室内空気の汚染で健康被害を受ける、いわゆる「シックハウス問題」に対応するため、厚労省は1997年にホルムアルデヒドの室内濃度指針値を設定。その後2000年から02年に掛け、そのほか13物質にも指針値を設けた。
ただ、指針値が設定されてから10年が経過し▽指針値を定めた化学物質以外の代替物質の問題が指摘されている▽シックハウス問題を検討する際の新たな概念として、揮発性有機化合物(VOC)に代わる準揮発性有機化合物(SVOC)が生まれた▽細菌由来のVOC類が検出された▽WHOの空気質基準の改廃の動向との整合が必要―などの課題が指摘されている。
厚労省は、28日に有識者らによる「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」に新たな指針値の検討を要請。今後、検討会で室内空気中の化学物質の測定方法などを検討し、13年度から具体的な指針値の見直し作業に入る見通しだ。
提供:建通新聞社