文部科学省は、東日本大震災の学校被害の検証が進んだことを受け、震災の教訓を生かした学校施設の安全対策や防災機能の強化を議論する検討部会を立ち上げる。非構造部材の技術的課題への対応や津波対策を検討するほか、地方自治体が学校施設の防災機能を整備する際に参考となる設計資料もまとめる。9月下旬に初会合を開く。
文科省では、震災後の4月に有識者会議を設置し、震災の被害状況を踏まえた学校施設の整備に関する緊急提言をまとめている。緊急提言では、非構造部材の耐震化、津波被害を軽減するための高台への避難経路の設置、応急避難場所としての学校施設の防災機能強化などの必要性を指摘していた。
緊急提言後に、震災の被害状況に関する検証が進み、今後の学校施設の整備に生かせる知見が集まってきたため、文科省はあらためて検討部会を設置して今後の学校施設の整備方策にこうした知見を活用する。
具体的には、非構造部材の被害調査から明らかになった天井材の耐震対策などに関する技術的課題などを議論。津波対策は、高台が周囲にない平坦部にある学校施設の対応を検討する。備蓄倉庫やマンホールトイレ、蓄電機能を備えた太陽光発電の設置など、学校施設に防災機能を整備する際、地方自治体向けの設計参考資料も作成する。
9月下旬の初会合の後、10〜12月に応急避難場所となった学校へのヒアリングを行う。13年度に報告書をまとめる。
提供:建通新聞社