低炭素型都市の実現に向けた新法「都市の低炭素化の促進に関する法律案」(都市低炭素化促進法)が、29日の参議院本会議で可決、成立した。低炭素建築物を認定する制度を創設し、一定の基準を満たした住宅・建築物に住宅ローン減税の深掘りや容積率緩和といったインセンティブを与える。市町村が低炭素まちづくり計画を作成し、それに基づいて集約都市開発事業などを実施する場合に支援する仕組みも設ける。公布から3カ月以内に施行する。
この法案は、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の相当部分が都市で発生していることを踏まえ、都市の低炭素化を促進することが狙い。まず国が都市の低炭素化を促進するための基本方針を策定し、それに基づき市町村が低炭素まちづくり計画を作成する。
低炭素まちづくり計画には、▽病院・福祉施設・事務所・共同住宅を集約する事業▽集約駐車場の整備▽公共交通機関の整備▽物流業務の共同化▽低炭素建築物・住宅の整備▽未利用下水熱の利用▽緑地の保全・推進―などの具体的な取り組みを位置付ける。計画の実効性を確保するため、都道府県・市町村や学識者、民間事業者などで構成する協議会の設置を可能とする。計画に位置付けられた事業は、国交省の集約促進都市開発支援事業やエネルギー面的利用推進事業を使って財政支援する。
建物の低炭素化に向けては、低炭素建築物認定制度を創設する。現行の省エネ基準に比べ1次エネルギー消費量が10%以上削減できる住宅・建築物を認定し、住宅ローン減税の深掘りや容積率の特例といった優遇措置を講じる。
提供:建通新聞社