トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2012/08/31

総合評価で大規模更新の対象を選定 首都高・調査研究委

 首都高速道路会社の「首都高速道路構造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会」(委員長・涌井史郎東京都市大学教授)は29日の会合で、大規模更新の対象区間を設定するための手法を固めた。検討区間のうち、構造上問題がある径間などを大規模更新の対象とした上で、残る区間について大規模更新を実施するケースと大規模修繕を実施するケースを総合評価で比較検討する考えだ。ライフサイクルコストや走行の安全性確保、ボトルネックの解消、防災機能の強化などを評価項目として設定する。次回10月の会合で中間報告をまとめた上で、12月に最終報告として提言を示す。
 この委員会は、老朽化が進む首都高速の構造物の大規模更新に向けた手法を技術的な観点から議論するため、本年3月に設置された。これまでの議論では、都心環状線など6路線(合計74・9`)を大規模更新の検討路線として抽出。この中から損傷状況や維持管理性能、渋滞・事故状況などを踏まえ大規模更新の検討区間を設定することにしていた。
 今回の会合では、検討区間について、既存の構造物を新たに造り替える「大規模更新」と、損傷した構造物の性能・機能を保持・回復する「大規模修繕」のいずれかを選択するための方法を明確化した。
 具体的には、桟橋構造や護岸埋立構造、複合的な疲労損傷が多数発生している橋梁といった構造上問題がある径間や、基部が水中にある鋼製橋脚など点検が非常に困難な径間を大規模更新の対象として選定。これらに挟まれた径間を総合的に評価し、区間全体を大規模更新とするか大規模修繕にするか判断する。
 総合評価に当たっては、@大規模更新を実施A通行止めを伴う大規模修繕を実施B通行止めを伴わない大規模修繕だけを実施―という三つの比較検討案を設定。ただし、区間ごとの検討は、大規模更新の場合と、大規模更新・大規模修繕を組み合わせた場合との比較となる。
 大規模更新・大規模修繕や維持管理の費用に加え、高速道路・一般街路への社会的影響を含めた「ライフサイクルコスト」と、走行の安全性確保、ボトルネックの解消、防災機能の強化などで構成する「サービスレベル」で評価する。例えば、走行の安全性確保では、線形改良・路肩拡幅・分合流部の改良などが評価の対象となる。再開発やまちづくり、東京オリンピックの招致といった外的要因については、社会的要請に応じて別途検討することとした。
 涌井委員長は29日の会見で、「次回の中間報告では具体的な対象は示さず、抽出の方法や今後のスケジュールを明確化する。最終報告には、大規模更新などに必要となるイニシャルコスト、ランニングコストなどを盛り込む」との考えを示した。

提供:建通新聞社