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2012/08/30

建物被害は全壊238万棟 南海トラフの被害想定

 内閣府は29日、南海トラフ巨大地震の被害想定(第一次報告)をまとめた。建物被害では、地震動による揺れで最大134万6000棟、液状化で最大13万4000棟が全壊するなどと試算。死者数が最多の32万3000人と予測される「東海地方を中心に被災するケース」では、火災による焼失棟数を含めた全壊棟数を238万2000棟と試算している。
 内閣府では、4月に発表した南海トラフ巨大地震の震度分布と津波高の推計をベースに、10b四方単位の詳細な地形変化を反映した海岸での津波高、陸域に遡上(そじょう)した津波の浸水域・浸水深を算定。津波高は、10b四方の推計と4月発表の推計でおおむねの範囲で一致、浸水範囲は最大で1015平方`b、浸水域内人口は163万人と試算した。
 この推計をベースに内閣府の有識者会議が人命と建物の被害想定を検討。想定する地震動は揺れによる被害が最大となる「陸側ケース」と「基本ケース」の2ケースを想定。従来の算定手法を基本としつつ、東日本大震災を含めた近年の地震の被害率を反映させた。建物被害には、建物の築年による被害の差も盛り込まれている。
 死者・行方不明者数が最多の32万3000人に及ぶ「東海地方が大きく被災するケース」のうち、より建物被害が大きい陸側ケースの被害想定は▽地震動134万6000棟▽液状化13万4000棟▽津波14万6000棟▽急傾斜地崩壊6500棟―が全壊すると予想。火災による焼失が見込まれる75万棟を加えると、合計238万2000棟が全壊・焼失するとした。
 今回の被害想定は、2003年に内閣府がまとめた被害想定と比べ、死者行方不明者数が13倍、建物棟数が2・5倍に増加した。東日本大震災による被害との比較では、死者・行方不明者数が17倍、建物棟数は18倍になる。
 内閣府では、今秋までに今回の被害想定から、インフラや資産の損傷額を算定した経済被害の推計もまとめるとしている。

提供:建通新聞社