全国の病院の耐震化率は56・7%―。厚生労働省がまとめた2010年度の病院の耐震化調査で、40%超の病院がまだ耐震化できていないことが確認された。09年度調査時よりもわずかに0・5%増えただけだった。このうち地震発生時などに医療拠点となる災害拠点病院と救命救急センターの耐震化率は66・2%で、09年度調査時と比べ3・8%の微増にとどまった。
調査対象8690病院のうち8541病院が回答を寄せた。うち「全ての建物に耐震性がある」は4846(56・7%)、「一部の建物に耐震性がある」は2541(29・8%)で、「全ての建物に耐震性がない」病院が279(3・3%)あった。「建物の耐震性が不明である」とした病院も875(10・2%)あった。「全て」または「一部」の建物に耐震性がない病院のうち371病院(13・1%)は、震度6強程度の地震で倒壊・崩壊の危険性が高いとされるIs値0・3未満の建物を保有していた。
災害拠点病院と救命救急センターは、調査対象632病院のうち630病院が調査に応じた。「全ての建物に耐震性がある」が417(66・2%)、「一部の建物に耐震性がある」が203(32・2%)、「全ての建物に耐震性がない」との回答が7(1・1%)あった。「建物の耐震性が不明である」とした病院も3(0・5%)あり、「全て」または「一部」の建物に耐震性がないと回答した病院のうち、64(30・4%)がIs値0・3未満の建物を保有していた。
同省は、東日本大震災の発生を受け、「建物の耐震性が不明」と回答した875病院に対し、耐震診断実施の有無などについてフォローアップ調査も行った。
回答を寄せた830病院のうち、11年10月1日時点で耐震診断を実施していたのは56病院(7%)にとどまった。774病院(93%)は耐震診断を行っていなかった。このうち、耐震診断の予定が「ある」と回答したのは105病院(14%)だけで、669病院(86%)は耐震診断の予定がなかった。
ただ、今回の調査で、「全て」または「一部の建物を除いて」耐震性がない、または「不明」とした病院のうち、14年度までに耐震化を予定している病院が500あり、災害拠点病院と救命救急センターの中にも同年度までに耐震化を予定しているとした病院が58病院あることも分かった。
提供:建通新聞社