文部科学省は、公立学校施設の耐震化が遅れている地方自治体に対し、耐震改修の早期実施を要請した。平野博文文科相から耐震化率が50%未満だったり、耐震性のない建物を100棟以上保有する137市町村の首長当てに耐震化の加速を要請。文科省が自治体当てに個別に要請を出すのは初めてで、取り組みが遅れている自治体への指導を強化し、耐震化の底上げを図るのが狙い。
要請文を送付したのは、公立学校・幼稚園の耐震化状況について▽耐震化率が50%未満かつ未耐震の建物5棟以上▽未耐震の建物100棟以上▽過去3年間の耐震化率の伸びが平均以下▽2次診断未実施の建物が多い―などの条件を満たす36道府県137市町村。
ことし4月時点の耐震改修状況調査では、未耐震の学校施設は約1万9000棟が確認されたが、このうち、この137市町村が保有する学校施設は約8000棟に上っている。
要請した自治体が最も多かった都道府県は北海道の27市町。北海道に次ぐ14市町が指導を受けた大阪府では、耐震性のない建物を100棟以上保有する自治体が6市で最多だった。自治体の財政状況や耐震化の優先度などが耐震化の進捗を左右するため、首都圏の東京都や神奈川県、東海地方の静岡県や愛知県などに対象の市町村はなかった。
文科省では、今回要請した137市町村について、自治体別の耐震化率を毎年度調べる公立学校施設耐震改修状況調査の来年度以降の進捗に改善が見られない場合、職員を派遣してさらに指導を強化することも視野に入れている。また、私立学校を保有する学校法人に対しても、同様の要請を行うことを検討している。
提供:建通新聞社