国土交通省の「持続可能社会における既存共同住宅ストックの再生に向けた勉強会」は23日、既存マンションの再生に向けた提言をまとめた。既存マンションストックの活用を促進するため、国の長期修繕計画標準様式を見直し、性能向上を目的とした改修を積極的に盛り込む必要性を指摘。勉強会がまとめた技術資料などの公表・普及も求めた。
この勉強会は、今後さらに重要な社会的資産となる既存マンションについて、戦略的維持管理の観点から備えるべき性能や改修技術・制度を明確化しようと、本年2月に設置された。
今回の提言では、大規模修繕・改修に当たり、多数の区分所有者が納得し、合意形成できる情報を▽所有者が問題に気付く▽専門家に調査診断を依頼する▽専門家から所有者に提案する▽所有者が工事を発注する―といった各段階で提供していくことが必要とした。具体的な取り組みとしては、マンションの修繕・改修に必要な資金を算出する上で重要となる長期修繕計画について、国が示す標準様式を見直し、性能向上を目的とした改修工事などを積極的に盛り込むことを例示した。
また、共同住宅の調査診断、修繕・改修をより効果的に実施できる技術開発を推進するため、再生に向けたモデル的な取り組みを促すとともに、モデル的な事例の周知に努めることを提起。さらに、老朽化したマンションについて、改修か建て替えかを合理的に選択するのに役立つ技術的な知見の集積に期待感を示した。
勉強会では、▽耐久性・耐用性▽環境・省エネルギー性能▽耐震性▽防災性▽高齢者対応―といった分野ごとに、再生技術や工事の費用、進め方などを盛り込んだ「技術資料」と、個別の調査診断技術・改修技術が適用できる建物の部位などの情報を集約した「個別技術シート」を作成した。提言では、これらを関係者が直接閲覧できるよう、インターネットなどで公開することが重要とした。
提供:建通新聞社