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2012/08/22

省エネ基準 13年ぶりに見直しへ

 国土交通省と経済産業省は、全ての新築住宅・建築物の省エネルギー基準適合義務化を見据え、住宅・建築物の省エネ基準を13年ぶりに見直すことを決めた。一次エネルギー消費量を指標として用い、断熱性能に加え設備性能や再生可能エネルギーの利用も含めて、建物全体の省エネ性能を総合的に評価できる基準を設定する。また、室用途や床面積に応じて省エネ性能を評価できる計算方法の導入も想定している。関係告示を12月までに公布・施行する方針だ。
 住宅・建築物の省エネ化をめぐっては、国交・経済・環境の3省が共同で設置した「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」が本年7月、大規模建築物から段階的に省エネ基準への適合を義務化し、2020年までには全ての新築住宅・建築物に基準適合を義務付ける方針を打ち出した。この中では、省エネ基準についても「創エネルギーや畜エネルギーなどの取り組みを評価できる客観的で信頼性の高い評価方法」を確立することが必要とされた。このため国交省と経産省は省エネ基準の見直しが必要と判断した。
 現行の省エネ基準は1999年に設定されたが、運用上の課題として▽外皮の断熱性や設備の性能を建物全体で一体的に評価できず、建築主や購入者が建物の省エネ性能を客観的に判断しにくい▽太陽光発電など再生可能エネルギーの導入による省エネ効果が適切に反映されにくい▽住宅と建築物で省エネ性能を評価する指標や地域区分が異なる―といった指摘が挙がっている。
 こうした課題に対応するため、新たな省エネ基準は、断熱性能に加え、設備性能や再生可能エネルギーの利用も総合的に評価できる基準とする。住宅の場合には、外皮の断熱化、通風利用、躯体蓄熱、調光、照明制御、節湯型器具の採用、浴槽の断熱化、設備効率の向上、太陽光発電設備などの設置といった省エネ手法を用いた場合のエネルギー消費量が、一定の基準以下になることを基本とする。
 エネルギー消費量による評価に加え外皮が満たすべき熱性能に関する基準も定める。これまでは、床面積当たりの総熱損失量(Q値)による基準としていたが、外皮表面積当たりの総熱損失量による基準に改める考え。性能の水準そのものは現行(99年基準)と同程度とする。
 建築物の省エネ基準については、空調・換気・照明・給湯といった設備ごと、事務室・会議室・ロビー・更衣室といった室用途ごとにそれぞれ基準値を設定した上で、建物全体のエネルギー消費量を算出。この数値が一定基準以下であることを基本とする。
 省エネ基準の検討作業は、国交省・社会資本整備審議会の「住宅・建築物判断基準小委員会」と、経産省・総合資源エネルギー調査会の「省エネルギー判断基準等小委員会」が合同で進めていく。21日の初会合では、外皮が満たすべき熱性能の基準の在り方などについて、一部の委員から異論が出たため、次回8月31日の会合以降に取り扱いを協議していく。

提供:建通新聞社