政府は17日、2013年度予算の概算要求基準を閣議決定した。公共事業関係の要求額は12年度当初比で10%削減する一方、グリーン(環境・エネルギー)分野などを柱とする「日本再生戦略」関係経費は削減額の1・5倍から4倍を要求できる仕組みを創設。再生戦略関係の要求額は最大4兆円に達する見込みだ。東日本大震災の復興経費は別枠で取り扱うほか、全国防災・減災事業への配分も重点化する。財務省が9月7日まで各府省からの要求を受け付ける。ただ、総選挙によって政権の枠組みが変われば、新たな考え方の下で予算編成が進む可能性もある。
今回の概算要求基準では、現行の「中期財政フレーム」(12年度〜14年度)で定めた歳出の大枠71兆円の順守を前提としつつ、▽「日本再生戦略」を踏まえた予算配分の重点化▽東日本大震災からの復興対策、防災・減災対策への重点化▽省庁の枠を超えた大胆な予算の組み替えに役立つ編成の仕組みの導入―を基本的な考え方に据えた。
日本再生戦略の実現に向けては、グリーン・ライフ(医療・福祉)・農林漁業の3分野に関係する施策を「特別重点要求」に位置付け、関係予算の要求額を上乗せする。グリーン分野は各府省が削減した額の4倍、ライフ分野と農林漁業分野は2倍までの要求を認める。このほかの日本再生戦略関連施策は「重点要求」枠として削減額の1・5倍まで要求することが可能だ。
大震災の復興経費は復興特別会計で別枠管理することとし、要求額に上限は設定しない。また、災害に強い国づくりに向けた全国の防災・減災対策事業については、公共事業関係費などの範囲内で予算配分を重点化する。
概算要求段階から予算編成過程を通じて、省庁の枠を超えた大胆な予算の組み替えを可能とする取り組みも展開。特別重点要求・重点要求の仕組みに加え、各府省間で類似施策の重複がないよう連絡調整の場を設けることや、過去の事業仕分け・行政事業レビューで廃止・抜本的改善と結論付けられた事業(名称を変えた類似事業を含む)を要求しないことなどを想定している。
提供:建通新聞社