国土交通省は、既存建築物の防災に関する各種調査結果(2012年3月16日時点)をまとめた。民間建築物の吹付けアスベスト調査では、計4282棟で吹付けアスベストが露出したまま除去や封じ込めなどの対策が施されていないことが判明した。窓ガラスや外壁材、天井などの落下・崩壊防止対策でも問題が多数見つかった。国交省は適切な措置の実施を自治体に要請する方針だ。
吹付けアスベスト調査の対象は、1956〜89年までに施工されたおおむね1000平方b以上の建築物27万3338棟。都道府県からの報告によると、露出してアスベストが吹き付けられている建築物は1万6229棟あり、このうち指導により対応済みの建築物は1万1086棟、対応予定の建築物は861棟だった。
窓ガラスの地震対策については、ガラスの落下による災害の危険性が高い3万7078棟を対象に調査。基準に適合していない建築物は1243棟あり、このうち改修済みは883棟、改修予定は43棟で、残る37棟は改修のめどが立っていなかった。
外壁材の落下防止対策については、落下などにより危害を与える恐れがあるとされた2万1934棟を対象に調査し、1351棟で落下の恐れがあることが判明。うち712棟は対策済み、283棟は対策予定となっていた。
天井の崩落対策をめぐっては、体育館や屋内プール、劇場など大規模空間を持つ2万1360棟が調査対象となり、技術指針と比較して問題のある建築物が4633棟発覚。このうち、崩落対策済みが1321棟、対策予定が483棟となった。
広告板の落下防止対策に関しては、落下した場合に被害が及ぶ可能性がある7万5771棟を対象に調査し、1711棟に落下の恐れがあることが分かった。ただし、このうち対策済みが941棟、対策予定が370棟だった。
提供・建通新聞社