国土交通省の調査によると、2011年度に情報化施工技術を活用した直轄工事は568件で、10年度より210件増えた。情報化施工の導入が始まった08年度(75件)と比べると7・6倍となり大幅に増えている。施工者別で見ると、土木のB・Cランクが395件で前年度より134件増加し全体の7割を占めている。08年度(30件)と比較すると13倍以上も増えた。
工種別では、河川・道路土工が402件で全体の7割。08年度は舗装工での活用が最も多かったが、09年度以降は河川・道路土工での活用が増えている。
施工技術別では、土工のTS(トータルステーション)による出来形管理が372件で最多。08年度実績の14・3倍も活用されており、モーターグレーダーやバックホウのMG(マシンガイダンス)、TS/GNSS(衛星航法)締固めといった他の施工技術と比べ大幅に伸びている。
11年度末までに完成した情報化施工案件を担当した施工者に対するアンケートでは、約6割が土工のTS出来形管理により「従来と比べて効率化した」と回答。出来形帳票の作成作業の効率化が主な要因だ。さらに、3次元設計と基準点の両データを搭載しているため、丁張りの設置作業や現場での突発的な測量にも準備計算なく対応できるといったメリットを挙げる意見もあった。一方で、事務所内の準備や工事基準点の設置、発注者への提出資料については、従来より非効率になるとの回答が多かった。
TSの出来形管理に必要な基本設計データに対する調査では、発注者から提供されたデータを修正しないと利用できないケースが多いことが分かった。また、発注者が2次元図面と基本設計データの両方を提供すると確認作業が増えることや、施工者が基本設計データを作成しても手間がかからないことを確認。この結果を受け国交省では、TS出来形管理用の基本設計データを今後提供しない方針だ。
提供:建通新聞社