政府の民間資金等活用事業推進会議(会長・野田佳彦首相)は1日、PFI事業を政府一体で推進していくための方針をまとめた。コンセッションやインフラファンドを活用した独立採算型のPFI事業を増やすため、予算要求に向けて準備が進む2013年度予算編成で、各省庁からの要求内容を精査し、PFI事業の導入を拡大する余地がないかどうかをチェックすることを打ち出した。さらに公共施設を整備する際に、まずPFI実施の可否の検討を義務付ける制度を14年度予算編成から導入できるよう、関係省庁で検討を進めていく。
11年度のPFI法改正で「公共施設等運営権制度」が導入され、税金を投入しない独立採算型PFIの導入が容易になった。また、今通常国会には、PFIを金融面で支援する官民連携インフラファンド設立に向けたPFI法改正案が提出されるなど、PFIの活用を拡大するための環境は徐々に整いつつある。
ただ、PFIを実際に導入するかどうかの最終的な判断は、各省庁や自治体に委ねられているのが現状。このため推進会議では、海外の事例を参考にPFI事業の案件形成を促進するための仕組みを新たに設けることにした。
その前段階として、13年度予算編成では、防災や再生可能エネルギーといった重点分野のPFI事業が、各省庁の予算要求にどの程度含まれているかをチェックし、予算案がまとまる12月までに上積みが可能かどうかの検討を促す。また、PFI事業者にとって、規制や補助金、税制といった既存の枠組みが通常の公共事業に比べ不利にならないように調整を進める。
来年度に実施する14年度予算編成では、独立採算型PFIを対象として、公共施設を整備する際、まずはPFIの実施の可否を検討することを義務付ける仕組みの導入を検討する。国の予算が入る地方自治体の事業にも同様の措置を求めていく考えだ。
こうした取り組みを推進するため政府は、閣僚級で構成する民間資金等活用事業推進会議の下に、内閣府審議官を議長とする幹事会を設けることを決めた。幹事会はPFI事業の活用拡大に向けた関係行政機関の調整や施策の推進を担う。
7月31日に閣議決定された日本再生戦略には「10年〜20年のPFI事業規模を少なくとも約10兆円以上にする」という目標が盛り込まれた。今回、政府が一体となってPFIを推進する方針を明確化することで、その達成に道筋を付けたい考えだ。
提供:建通新聞社