文部科学省は、2015年度末までに公立小中学校の耐震化を完了させるとしており、今後3年は取り組みが遅れている地方自治体の底上げを重視していく。同省では11年度に耐震化率100%を達成した地方自治体に、財政力指数の全国平均を下回る自治体が多くみられることから、耐震化が遅れる要因が必ずしも自治体の財政力だけにないと分析。耐震化率の低い自治体などに個別で通知を出し、早期の耐震化完了を要請する考えだ。
同省では、2日に発表した耐震改修状況調査に合わせ、11年度に耐震化率100%を達成した市町村174団体を対象に、小中学校の耐震化の進捗と市町村の財政力指数との関係を分析した。
この174団体のうち、全国の市町村の財政力指数の平均値である0・53以下の市町村は101団体で、0・53以上の市町村の73団体を大きく上回った。また、09年度からの3年間で耐震化率の伸び率が50ポイント以上だった149団体を見ると、財政力指数の平均値0・53を下回った市町村が106団体と全体の7割を占めていることが分かった。
公立小中学校の耐震化が遅れている資金面の要因として同省は、対応すべき学校数が多く、学校耐震化に振り向ける投資的経費を抑制していたり、実質公債費比率の悪化を避ける緊縮財政による耐震化投資の抑制などにあると捉える。
また「隣接する自治体と同程度に学校耐震化を実施しているため、切迫感が不十分」「校舎の新設を伴う学校再編を優先」「工事の担当技術職員数による制約」なども要因に挙げている。
同省では、自治体からのニーズを踏まえて耐震化予算の確保に努めるとしながらも、2次診断や耐震改修の進捗が遅れている自治体に個別に通知を発出するなど、耐震化の早期完了を直接的に働き掛ける考えでいる。
提供:建通新聞社