文部科学省が実施した公立学校施設の耐震改修状況調査によると、4月1日時点の公立小中学校の耐震化率は84・8%で、前年度から4・5ポイント上昇した。耐震性がない建物棟数は前年度から4403棟減り、1万8508棟となった。工事中や計画中の建物も約5700棟あるため、12年度予算執行後の耐震化率は約90%まで伸びる見通しだ。ただ、耐震化率が50%以下の地方自治体も依然として65団体あることに加え、耐震化の前提となる2次診断を行っていない建物も4658棟ある。
調査対象は、宮城県石巻市の一部と福島第一原子力発電所事故の影響を受けた福島県の7市町村を除く全国の公立学校施設(幼稚園、小中学校、特別支援学校、高校など)。施設別の耐震化率は▽幼稚園75・1%▽小中学校84・8%▽高校82・4%▽特別支援学校92・9%―となった。
耐震性がない小中学校は1万8508棟あるが、4月1日時点で工事中の学校が約2900棟、実施予定の学校が約2800棟あるため、12年度末には約1万2800棟まで減少する。耐震化率は約90%まで上昇する見込みだ。02年4月に44・5%だった小中学校の耐震化率はこの10年間で84・8%まで進んだ。耐震化率100%を達成した自治体も750団体となり、全体の42・1%を占めるに至っている。
こうした状況においても、小中学校の耐震化率が50%未満の自治体は65団体ある。都道府県別に見ると、北海道の20市町村、大阪府の8市町、茨城県の5市などが目立つが、この中にはそもそもの学校数が少ない町村が6割以上を占める。
文科省ではむしろ、耐震化率が50%を超えていても、耐震性のない建物の棟数が多かったり、数年にわたって耐震化の進捗が見られない自治体を問題視。今回の調査では、過去3年間の耐震化率の伸びが全国平均以下の自治体(耐震化率70%以下、未耐震棟数50棟以上)を初めて公表した。
該当する自治体は31団体あり、この中でも過去3年の耐震化率の伸びが低かったのは▽愛媛県西条市(1・5ポイント増)▽那覇市(2・1ポイント増)▽北海道釧路市(2・2ポイント増)▽北海道稚内市(2・4ポイント増)▽大阪府高槻市(4・8ポイント増)―などとなっている。
提供:建通新聞社