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中央ニュース

2012/08/01

法定福利費削減は建設業法違反の恐れ

 国土交通省は、元下関係の適正化に向けた「建設業法令遵守ガイドライン」を改訂した。社会保険未加入対策を推進する観点から、元請けが法定福利費相当額を一方的に削減した場合や、法定福利費相当額を含めない金額で請負契約を締結し原価割れさせた場合には、建設業法に違反する恐れがあると指摘。また、社会保険未加入業者についても、建設業法の他法令違反に該当する恐れがあるとした。
 このガイドラインは、元下間の対等性確保や公正・透明な取引の実現を目的に、元下関係についてどのような行為が建設業法などに違反するかを具体的に示すもの。
 改訂に当たっては、▽健康保険と厚生年金保険は、法人が全事業所、個人が常時5人以上の従業員を使用する場合に必ず加入手続きを行わなければならない▽雇用保険は、法人、個人にかかわらず、労働者を1人でも雇用する限り必ず加入手続きを行わなければならない―ことをあらためて明確化した。
 加えて、社会保険料は建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるため、元請け・下請けが法定福利費を必要経費として適正に確保する必要性を指摘した。
 こうした認識を踏まえ、下請けが取り組むべき事項として、見積書に法定福利費相当額を明示することを挙げた。元請けが法定福利費相当額を一方的に削減したり、法定福利費相当額を含めない金額で請負契約を締結した結果、「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、元下間の取引依存度によっては、建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」に違反する恐れがあるとした。
 また、社会保険への加入は法で義務付けられているため、保険未加入業者は、建設業法第28条第1項第3号の「その業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当」に該当する恐れがあることにも触れた。

提供:建通新聞