建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は7月31日、国土交通省本省幹部との定例意見交換会を東京都内で行った。才賀会長は「社会保険未加入対策の最終目的はダンピングの起きにくい競争環境の整備にある」ことをあらためて指摘。建専連として保険加入策の一つとして法定福利費の別枠計上などを要望した。国交省は、下請け契約における支払いの透明性確保には法定福利費を内訳明示した標準見積書の作成・活用が重要として、建専連に法定福利費の内訳明示への協力を求めた。
今回の意見交換会の議題は▽社会保険未加入対策▽登録基幹技能者の積極的活用・評価▽ダンピングの起きにくい競争環境の整備、施工範囲の明確化▽業種区分の見直し▽「グランドアンカー専門技術者」の育成と活用によるアンカー工事の品質確保―の五つ。この日の意見交換では、建専連の長年の懸案である「元請け下請け取り引き関係の適正化」にとって最重要課題の一つとなっている社会保険未加入対策に関するやり取りに多くの時間が割かれた。
主に内山聖副会長(全国鉄筋工事業協会会長)と石田信向副会長(全国建設室内工事業協会会長)が、「技能者の生活と地位の向上を目指し、建専連会員が自ら退路を断って」(内山副会長)社会保険・健康保険・雇用保険の加入に取り組んでいる状況を説明。その上で、元請けからの指値発注が続いているとして、法定福利費や、現場管理費・一般管理費を別枠計上するよう求めた。
これに対し、国交省側は、この問題への対応が「建設産業の再生と発展のための方策2012」に掲げた現場の施工力を支える技能労働者の処遇改善を左右するとの認識を示し、「未加入は許さない」姿勢を重ねて強調。「法定福利費が(技能労働者などへ)届くことが大事だ」として、法定福利費を内訳明示した標準見積書の作成・活用の促進に向け、専門工事業者自らが法定福利費の内訳明示に積極的に応じるよう要請。元請け業者に対しても、下請け業者の内訳明示を発注者との契約に反映させるよう指導する考えを示した。
提供:建通新聞社