国土交通省は、さまざまな公共建築物で木材を利用する取り組みを集めた事例集をまとめた。木材利用の理解を深めるための取り組みや、設計者選定に工夫をこらした取り組みなど、全国から延べ97事例を収集し、テーマごとに図表入りで詳しく解説している。同省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/gobuild/mokuzai_kentoukai.html)から入手できる。官庁営繕部整備課木材利用推進室では「発注者はもちろん、設計者や施工者も幅広く活用してほしい」と話している。
2010年10月に公共建築物木材利用促進法が施行されたことうを受けて国交省は11年5月、事務所用途を念頭に置いた「木造計画・設計基準」を策定した。ただ、地方自治体の公共建築物には事務所用途以外のものが多数あるため、全国からさまざまな建築物の木材利用の事例を収集・整理し、地方自治体での木材利用を促進していくことにした。
事例集は、@木材を利用した建築物の良さを関係者に伝える「関係者の理解の構築」A設計者選定や木材需要情報の事前公開など発注段階の取り組みを対象とした「発注上の課題」B維持管理を考慮した設計手法や具体的な維持管理手法を取り上げた「維持管理上の課題」C特殊な工法や材料、景観に配慮した建築物の事例などを幅広く紹介する「その他の課題」―の4テーマで構成している。
例えば、静岡県では、県や県内市町の建築系職員を対象に木材に関する必要な知識を習得するための研修会を実施。三重県や奈良県でも同様の取り組みを展開している。
また、栃木県では、木造の中学校校舎を建設する際、大規模木造建築の設計者が不足している現状を踏まえプロポーザル方式で設計者を選定。施工に当たっては、木材の原材料確保と工事を分離発注したという。
提供:建通新聞社