国土交通省は、直轄事業の品質確保に向けた2012年度の活動方針をまとめ、24日の「直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)に示した。総合評価方式の活用・改善をめぐっては、総合評価方式の運用ガイドラインを上半期中に改定し、前年度に打ち出した総合評価方式の二極化の統一的な運用方法を明確化する。若手技術者の育成を目的とした「若手技術者評価型試行工事」の活用も検討する。
12年度の品質確保に向けた取り組みは、@適正な競争環境の確保A生産性の向上B総合評価方式の活用・改善C調査・設計分野での品質確保―という四つの分野で展開していく。
適正な競争環境の確保に当たっては、2011年度・12年度競争参加資格審査の評価結果を踏まえ、次期競争参加資格審査の改正を検討。技術評価点と経営事項評価点のバランスが保てる計算式の在り方などを詰めていく。
生産性を向上させる観点からは、施工者と契約した第三者による品質証明制度の具体化に取り組む。その一環として、各地方整備局が一般土木工事から数件程度を選びモデル工事を試行する方針だ。
総合評価方式については、昨年度に企業・技術者の実績や施工計画で評価する「施工能力評価型」と、施工能力に加え技術提案を求めて評価する「技術提案評価型」に大別した上で、評価項目を工事の品質確保に関するものに絞り込む方針を示している。これを踏まえ、総合評価方式の運用ガイドラインを改定する。工事難易度表や同種工事要件の設定例も見直す。
また、下請けへのしわ寄せを防止するための「下請見積方式」を試行するとともに、若手技術者を管理技術者として配置した場合にインセンティブを与える「若手技術者評価型試行工事」の活用を検討する。
調査・設計分野では、総合評価方式が全契約件数の約4割を占めるようになった現状を踏まえ、契約方式全般の妥当性を検証するほか、予定価格が1000万円未満の総合評価対象案件や価格競争対象案件の低入札対策を検討していく。
提供:建通新聞社