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2012/07/24

シールドトンネル事故で再発防止策 国交省・協議会が中間報告

 国土交通省の「シールドトンネル施工技術安全向上協議会」は23日の会合で、本年2月に岡山県倉敷市のシールドトンネル工事現場で発生した事故の再発防止策を中間報告としてまとめた。事故が起こったシールドトンネルをめぐっては「コスト低減・工期短縮を優先したと考えられる設計とさまざまな現場条件の中での施工により、設計で想定できていない不確定な要素が事故の誘因となっている」との見方を提示。その上で、設計・施工中の現場に対する注意事項として、リスク管理に配慮した総合的なシールドトンネルの設計・施工など計26項目を示した。
 JX日鉱日石エネルギー水島工場の海底トンネル工事で発生した事故では、掘削中のシールドトンネルに海水が流入し、作業員5人が死亡した。これを重くみた国交省はシールドトンネル工事の安全を確保する手法を技術的に検討するため、有識者らで構成する協議会を設置。今回の会合で、現地調査や関係者からの聞き取り調査を踏まえ中間報告を策定した。
 それによると、事故が発生した工事の設計・施工については、「現行基準に照らしてみたところ、基準を明らかに逸脱している事項を確認できていない」と分析。その一方で、「コスト低減・工期短縮を優先したと考えられる設計とさまざまな現場条件の中での施工により、設計で想定できていない不確定な要素が事故の誘因となっていると考えられる」とも指摘した。
 全国の設計・施工中の現場に対する注意事項としては、▽万一事故が発生した場合に想定される被害の状況を考慮して、リスク管理に配慮した総合的なシールドトンネルの設計・施工を行う▽セグメント本体と継手は、完成時の安全性の確認はもとより、施工状況を考慮した設計を行い、万一の場合にも重大な事故につながらないよう安全性の確保に配慮する▽テールシールは、トンネル通過地盤の土質条件や地下水位、間隙水圧などを総合的に検討し、十分な止水性が確保できるよう配慮する▽海・河川・湖沼を掘進するシールドトンネルを計画する場合は、海底・河床・湖床などの探査を十分に実施する―ことなどを列記した。
 シールド工法技術協会の調べによると本年4月現在、全国のシールドトンネル施工中(契約中)箇所は計135カ所にのぼる。中間報告を受けて国交省は近く、これらの現場に同種事故の再発防止を呼び掛けるとともに、全国の発注機関や建設関係団体に中間報告を周知する方針だ。

提供:建通新聞社