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中央ニュース

2012/07/19

《バイオマス事業化戦略 新規参入に税制優遇

 農林水産省や国土交通省などの関係省庁でつくるプロジェクトチームは、固定価格買取制度(FIT)を活用したバイオマス利用の拡大や技術革新の方向性を示す「バイオマス事業化戦略」を7月中にまとめる。戦略には、FITや税制優遇で事業者の新規参入を呼び込む需要創出・拡大策や、未利用間伐材の効率的な収集・運搬システムの構築など原料調達を円滑にする方策を盛り込む。
 政府は2010年12月に閣議決定した「バイオマス活用推進基本計画」で、20年までにバイオマス関連の新産業の市場規模を5000億円まで拡大する目標を打ち出している。国内の未利用バイオマスを全てエネルギーに利用すると仮定すると、年間の電力利用可能量は1時間当たり約220億`h(460万世帯分)に上るとの試算もある。
 東日本大震災を受け、自立・分散型エネルギーの供給体制を強化する必要にも迫られており、事業化戦略では、バイオマスの普及拡大に向けて投資家や事業者の参入を促す仕組みを提案する。この中では、バイオマスで発電した電力を買い取るFITの積極的な活用にとどまらず、税制優遇策を講じる必要を指摘。バイオマスは化石燃料に比べて供給コストが高いため、バイオ燃料の混合分の税減免、初期の設備投資に係る所得税・法人税・固定資産税の軽減措置で、新規参入に対するインセンティブを与える。
 戦略ではこのほか、原材料別の個別重点戦略として、木質バイオマスの調達面の課題について解決策も示す。国内バイオマスで最大の利用可能量を持つ未利用間伐材の利用拡大に向け▽森林施業の集約化▽路網整備▽搬出間伐の一体的促進▽高性能林業機械の導入―などの対策を盛り込む。
 また、高度な技術と施設運営のノウハウを持つプラント・エンジニアリングメーカーのバイオマスへの参画が施設建設にとどまっていることを問題視し、PFIやDBO(公設民営)、SPC(特別目的会社)などを活用することで、事業運営や施設管理まで受け皿を広げることも提案する。

提供:建通新聞社