国土交通省は、元請けと下請けの取引適正化に向けて「下請取引等実態調査」に着手した。調査対象は全国の建設業者から抽出した約1万8000業者で、特に2010年度から11年度にかけて特定建設業許可を取得した業者を優先的に調査する。今回から、社会保険加入状況や元請けとして行っている下請け指導の内容を尋ねる設問を新たに設けた。調査で不適切な事例が見つかれば、立入検査を実施し指導・勧告などにつなげていく方針だ。11月に調査結果を公表する。
調査対象の内訳は大臣許可約2000業者、知事許可約1万6000業者で、09年5月1日から12年4月30日までの建設業者との取引状況について、元請け・下請けそれぞれの立場での回答を求める。7月17日付で調査票を発送し、8月10日を回答期限とした。
新たな調査項目である社会保険加入状況については、雇用保険、健康保険、年金保険それぞれの加入の有無や加入している保険の種類を尋ねる。
元請けに対しては、下請けとの▽代金の決定方法▽契約締結方法▽契約で定めている条項▽追加・変更契約方法▽代金を支払うまでの期間・支払手段―のほか、施工体制台帳作成の有無や、発注者(施主)からの不当な要求の有無、不当な要求を行った発注者の詳細な情報などを調査する。
また、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」が11月から適用されることを踏まえ、下請けに対する指導実施の有無に加え、▽無許可業者との契約の禁止▽一括下請負(丸投げ)の禁止▽技術者の適正配置▽社会保険等への加入▽暴力団関係企業等の排除―といった項目を設けて具体的な指導内容を尋ねる。
一方、下請けには元請けと同様の項目に下請けの立場で回答する項目を設定。加えて、不当なしわ寄せを受けた代表的な工事の元請け名と工事件名、当該工事の発注者名などを詳しく記載している。
提供:建通新聞社