建設業の新しい地域産業化を目指した経営者が集まる建設トップランナー倶楽部(代表幹事・和田章日本建築学会会長、米田雅子慶応大学特任教授)は12日、「国土を守る地域建設業の挑戦」と題したフォーラムを東京都港区の建築会館ホールで開催した。被災3県の地域建設業が東北復旧の現状を報告したほか、新分野に参入する地域建設業が自社の取り組みなどを紹介した。来賓として出席した国土交通省の佐藤直良技監は「東日本大震災の発災後に真っ先に駆け付けたのは地域建設業。このフォーラムを通じ、地域の建設業の役割を再確認してもらいたい」と参加者らに呼び掛けた。
宮城県の復旧状況について報告した東北建設業青年会の船山克也前会長は、被災地が抱える課題として「単価高騰への対応が十分でない。単価の引き上げ後も実勢とかけ離れた状況にある」と訴え、早急な改善を求めた。また「入札不調が増加している中でも、大規模工事や効率の良いと思われる工事ではダンピングも発生している」などと指摘。「地元の建設業として本当に利益がでるのか疑問も生まれている」などとした上で「災害発生の前に地域建設業が復旧・復興に参画しやすい仕組みを事前に考えておくべきではないか」と、大規模災害が懸念される他地域に警鐘を鳴らした。
松田重機工業(岩手県遠野市)の松田真一社長は「市町が発注した応急対策などの小規模工事に技術者をとられ、本格的な復興工事に参画できないのではないかという懸念がある」と県内業者の声を紹介。福島県建設業協会の小野利廣会長は、放射性物質の除染の現状について「除染で発生する廃棄物の処分方法が決まっていない」と国に早期の解決を求めた。
提供:建通新聞社