日本の社会資本に老朽化の問題があることを国民の7割が十分に認識していない―。政府が6日に閣議了解した国土交通白書に、こうした調査結果が盛り込まれた。社会資本更新の手法をめぐっては、負担が生じないよう優先順位を付けて更新を進め、最終的には全ての施設を更新することを望む声が最も多かった。東日本大震災によって、国民の防災意識が高まり、社会資本に安全・安心を確保する機能を求める層が大半を占めていることも分かった。
今回の調査は、全国の満20歳以上の男女を対象として本年1月から2月に実施した。インターネットを使って4000人から回答を得た。地域、世代、性別による偏りは補正している。
それによると、社会資本の老朽化問題の認知度については、「知っていた」が29・8%にとどまり、「聞いたことはあるが、よく知らない」の36・7%、「知らかなった」の33・5%を下回った。社会資本更新の費用負担については、「負担が増えないよう、施設の重要度などを考慮しつつ優先順位を付けて更新を進め、最終的には全ての施設の更新を進める」が54・3%と過半数を占め、「負担が増えるなら、必ずしも全ての施設を更新する必要はない」の24・5%に2倍以上の差を付けた。
社会資本の維持管理で重要だと思うことを複数回答で尋ねたところ、「社会資本の実態(施設の数、配置、経過年数など)の把握」が44・8%で最も多く、「地域ニーズに合わせた、撤退などを含む社会資本の集約・統廃合」の35・4%、「予防的措置による長寿命化」の26・3%などが続いた。
東日本大震災後の意識変化に関しては、「防災意識の高まり」が52%、「節電意識の高まり」が43・8%、「家族の絆の大切さ」が39・9%と高い割合を占めた。社会資本に求める機能としては、「安全・安心を確保する機能」が最多の74・4%で、「高齢者、障害者対応の機能」25・8%、「環境対策の機能」24・1%、「地域経済活性化の機能」23・5%などを大きく引き離した。
国交省が政策の軸として掲げる「持続可能で活力ある国土・地域づくり」に当たり、重要だと思うことについても複数回答で「災害に強い住宅・地域づくり」が53・5%と最も多かった。
提供:建通新聞社