国土交通省の「首都高速の再生に関する有識者会議」(三宅久之座長)は5日の会合で、首都高速再生の在り方について意見を交わした。この中で、事務局は仮に現在の首都高速が撤去された場合、飛躍的な環境改善が期待されるとの認識を提示。看板の整理や電線類の地中化を進めれば、より一層効果が拡大するとした。首都交通戦略の視点からは、都心環状線の外側に位置する環状道路の整備を最優先課題と位置付けたほか、都心部への流入交通を抑制する取り組みが必要との考え方を示した。
この会議は、首都高速の地下化や線形変更などの可能性を含めた再生手法を長期的な視点から話し合うため、本年4月に設置された。今回の会合では、@都市環境の改善A今後の首都交通戦略との連携―を論点に意見を交換。8月上旬の次回会合で首都高再生の将来像を明確化した上で、夏をめどに提言をまとめる方針だ
都市環境の改善をめぐっては、今後の方向性として▽単なる更新にとどまらない首都東京にふさわしい再生を検討すべき▽仮に現在の首都高速が撤去された場合、景観の向上や水辺空間の再生、沿道環境の改善などで飛躍的な環境改善が期待される▽看板の整理や電線類の地中化などを進めれば、より一層効果は拡大する▽地下化した場合、道路の上空空間などを活用し複合機能を持たせることで、さらなる都市機能の向上が期待できる―などの認識を示した。
首都交通戦略との連携については、▽都心部の混雑を緩和するとともに、貨物交通の高速利用を促進するためには、都心環状線の外側に位置する環状道路の整備が最優先課題▽都心部への貨物交通をはじめとした流入交通を抑制する取り組みの検討が必要▽都心環状線を中心とした首都高速の再生には、今後の交通戦略や将来の首都東京の都市像と併せて検討することが必要―といった考え方を盛り込んだ。
提供:建通新聞社