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2012/07/06

首都高地下化3・8兆円と試算 

 国際ロータリー第2750地区は、首都高速の地下化に必要な費用を利用者負担と民間活用で賄うことが可能とする試算をまとめ、5日の「首都高速の再生に関する有識者会議」に提示した。新都心線50・4`を建設する場合の費用を3兆8000億円、既存債務を4兆1000億円、追加補修費を1兆円と見積もり、これを合わせた約9兆円に、将来の通行料収入や空中権の設定・容積率割り増しで発生する収入を充てる計画だ。こうした構想の実現に向けて、国や地方自治体に通行料金の恒久有料化や借入への政府保証、既存道路の撤去への協力などを提言した。
 国際ロータリーは全世界に約120万人、日本国内に約9万人の会員を擁する社会奉仕団体。今回の試算は、東京南部を母体とする第2750地区の環境保全委員会(木村眞委員長)がまとめた。
 それによると、首都高速の再生に当たっては、老朽化部分を代替する新都心線を建設し、河川や通りを覆う高架構造物は撤去。早急な建設と用地取得費の軽減に向けて、道路などの公共施設の地下を通す。耐用年数は100年を見込んでいる。
 新都心線の建設に必要な費用の内訳は、都心環状部(6車線)が5328億円、都心放射部(4車線)が4400億円、ランプ(通常)が4200億円、ランプ(ループ)が3000億円、分岐・ジャンクション(JCT、3差路)が1兆56000億円、分岐・JCT(4差路)が4800億円、換気所(脱硝装置付)が770億円。これに既存債務4兆1000億円、追加補修費1兆円を加えた約9兆円を再生に必要な総事業費と見積もった。
 約9兆円を賄う財源としては、▽2049年度までの通行料が4兆1000億円▽恒久有料化による利用者負担が100年後までで1兆9000億円▽インフレに合わせた利用者負担が1兆9000億円(10年ごとに10%の料金値上げを想定)▽建設費削減努力と空中権・容積率の割り増しの経済効果が1兆円以上―いった考え方を打ち出した。
 ただし、5日の会合では、試算や提言の正確性・実現性を危ぶむ意見も寄せられた。有識者会議の委員を務める国際ロータリーの木村眞氏は「提言を実現する上では、法制上の枠組みを見直すことや、財政面での支援策が不可欠」であることを認めた上で、「今後、民間活用による財源確保の手法などをしっかりと詰めていきたい」と話した。

提供:建通新聞社