政府は、5日に開かれた国家戦略会議で、再生可能エネルギーの普及拡大やCO2削減などを目指す「グリーン成長戦略」の中間報告をまとめた。この中で、蓄電池の普及を集中的に実施することを明記し、2020年の世界の蓄電池市場(20兆円)の5割のシェアを占める目標を掲げた。民間の住宅・ビルに建設段階から蓄電池の設置を促進するだけでなく、公共施設への蓄電池設置を原則化する方針も盛り込んでいる。
蓄電池については、厳しい電力需給状況にある中で、需給両面の負荷平準化やスマートグリッド社会などの分散電源を促進する上でも核となる重要な技術と位置付けた。蓄電池を活用すると、逆潮流電力量を調整できるため、再生可能エネルギーなどによる余剰電力を無駄なく利用することができる。
普及目標については、日本企業が2020年の世界市場の5割を占めるこを目指す(現在は2割)。内訳は、大型蓄電池35%、定置用蓄電池25%、車載用蓄電池40%を想定。このうち、定置用蓄電池については、12年度予算に盛り込んだ節電エコ補助金(予算額210億円)の着実な執行により、民間需要拡大を後押し、量産効果によるコスト低減を図る。
加えて、国土交通省、厚生労働省、文部科学省などが連携し、病院・学校・庁舎などの公共施設を建設する際に、原則として蓄電池を設置するようにする。
グリーン成長戦略ではこのほか、洋上風力発電などの海洋開発、HEMS・BEMSなどの次世代エネルギー制御システムプロジェクトなども中核事業と位置付け、海外にも通じる新産業の創出を目指すなどとしている。グリーン成長戦略は、7月中に策定する新成長戦略「日本再生戦略」の柱に位置付ける。
提供:建通新聞社