総務省の「ICT(情報通信技術)を活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会」は「ICTスマートタウン」の実現に向けた方策を盛り込んだ報告書をまとめた。報告書ではICTのパッケージ化により、社会インフラの高度化や災害に強いまちづくりを進めるよう提言。インフラ分野では、施設情報を街全体で一元管理し、効果的・効率的な維持管理を実現するなどとしている。今夏以降に、全国数カ所で地域実証プロジェクトを実施するとしている。
昨年12月に設置した懇談会は、ワイヤレスネットワークやブロードバンドネットワークなどICT技術の急速な進展を踏まえ、ICTの活用で災害に強いまちづくりや社会インフラ老朽化などの課題を解決する新たな方策を検討した。
報告書では、ICTを活用した新たな街づくりを進める地域が目指す姿を「ICTスマートタウン」と定義。ICTスマートタウンの基本機能として▽平時のICT利活用と災害対応▽ビッグデータの利活用と住民参加▽産官学連携―などの具体例を示した。
社会インフラ分野では、インフラ情報(施設の竣工日、設置場所、設備管理者の配置情報など)などの情報を街全体で一元管理してリアルタイムで共有し、効率的で持続可能なまちづくりを目指すなどの取り組みを実施するとした。
新たな街づくりのシナリオとしては、まず、地方自治体が公共施設管理のICT化を進めることでプラットフォームを構築し、周辺の民間施設をこのプラットフォームに接続することで民間投資が活性化するとしている。2020年時点の経済効果として約8兆円、雇用創出効果約38万人を見込んでいる。
12年度から地域実証プロジェクトを開始し、2015年までにICTスマートタウンの先行モデルを完成させるとした。
提供:建通新聞社