国土交通省の「インフラ海外展開推進のための有識者懇談会」(座長・家田仁東京大学大学院教授)は、国土交通分野のインフラ海外展開を推進していくための提言をまとめた。この中では、国際競争力を強化するため、防災に関する技術やノウハウを組み合わせた「防災パッケージ」の展開などによって新たな分野を開拓する必要性を指摘。国内の公共工事で国際標準に沿った発注・契約方式を取り入れることなども求めた。
提言では、インフラの海外展開を進めていく上での戦略として、▽相手国ニーズの的確なくみ上げ▽海外展開を担う人材の確保と人的ネットワークの充実▽総合受注を担える体制の整備・プレーヤーの確保▽競争力強化のための新分野開拓▽国際市場の国際化―などを提示し、これらの実現に向けた施策を明確化した。
具体的には、日本が持つ技術の優位性を理解してもらい、受注につなげていくため、技術・ノウハウを「見える化」することが重要と指摘。日本の技術・施工能力の高さをアピールできる先導的なプロジェクトについては国が認定して積極的に支援することを提案した。
また、鉄道・運輸機構や日本下水道事業団、水資源機構といったインフラ分野で総合的なノウハウを持った公的機関が、民間企業の海外展開支援を行う必要性を強調。東日本大震災などを教訓として、災害に脆弱な国に対し防災情報や警戒避難体制、インフラ、土地利用規制などを一体化した「防災パッケージ」を提供していくことも重要とした。
さらに、入札契約方式が異なる海外市場で競争力を確保するためには、国内市場でも国際標準に沿った発注・契約方式を取り入れるなど国内の国際化を進めていく必要があるとし、国際的な発注・契約方式を取り入れた公共工事の実施を検討すべきとした。
提供:建通新聞社