国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)は22日の会合で、強靭な国土づくりの担い手として建設産業が目指すべき姿を明確化する提言の骨子を固めた。現場の施工力の再生や対等な元下関係の構築、多様な事業方式・契約形態の展開を優先的に取り組むべき課題に位置付けた上で、CM方式の積極的な活用や下請け評価制度の構築、元下間の支払いの透明性確保といった施策を盛り込む見込み。7月上旬に開く次回会合で最終的な成果をまとめる方針だ。
今回の提言は、同会議が2011年6月にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2011」(方策2011)で示した課題が、東日本大震災を契機としてより深刻な形で顕在化したとの認識を踏まえ、方策2011に加えて実施すべき対策を提示するものとなる。
当面講ずべき対策として、▽東日本大震災への対応を次に生かす取り組み▽公共工事の入札契約制度の改革▽総合的な担い手の確保・育成支援▽海外展開支援策の強化▽時代のニーズに対応した施工技術と品質確保―の計5項目を設定し、それぞれ具体的な施策を示していく。
このうち、入札契約制度改革をめぐっては、CM方式や単価契約方式など多様な発注方式の積極的な活用を提言。地域建設業が取り組むさまざまな地域維持事業に対する評価制度や、専門工事業者に対する評価制度の必要性を指摘する。さらに、下請けに対する工事請負代金支払いの透明化や法定福利費の明示なども盛り込む。
総合的な担い手の確保に向けては、基幹技能者の活用や技術者データベースの整備、若手の入職促進のための広報などを提示。時代のニーズに対応した施工技術と品質の確保に関しては、業種区分の方向性に加え、小規模なリフォーム工事などでの品質確保の在り方にも言及する見通しだ.
提供:建通新聞社