文部科学省が市区町村を対象に行った公立小中学校施設の老朽化対策に関するアンケート調査で、予防保全型管理や建物の長寿命化に取り組む自治体が全体の約1割にとどまっていることが分かった。老朽化対策の課題には「必要な予算の確保」を挙げる自治体が8割に上ったほか、「劣化状況の的確な把握」が7割を占めた。
アンケート調査は、公立小中学校施設の老朽化の現状や自治体の老朽化対策の取組状況を把握するため、全国の自治体1663市区町村に送付。文科省は21日に開かれた老朽化対策特別部会にアンケート結果の速報値を報告した。
老朽化対策の取組状況に関する回答では、予防保全管理に「取り組んでいる」とした自治体が10%、「検討中」が31・9%あった一方、「取り組んでいない」との回答が57・9%あり、現時点で検討も行っていない自治体が6割近くを占めていることが分かった。建物の長寿命化についても、「取り組んでいる」は13・2%に過ぎず、「検討中」が31・8%、「取り組んでいない」が55・3%と、消極的な自治体が多い実情が浮き彫りになっている。
老朽化対策で課題となる項目を問う設問では、「必要な予算の確保」を挙げる自治体が83%、「劣化状況の的確な把握」が68・6%と圧倒的に多かった。次いで多かった「専門的な人手不足」の25・4%、「長寿命化対策等の進め方」の27・2%と比べても、財政状況や施設の現状を不安に感じている自治体が突出して多いことが分かる。
国の補助制度の改善点を問う設問では▽補助率の嵩上げ▽大規模改造事業の上限額引き上げ▽部分改修の補助対象化▽補助メニューの多様化―などを要望する自治体が多かった。
提供:建通新聞社