文部科学省は21日、公立学校の再生整備に関する「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」の中間報告骨子をまとめ、有識者らでつくる老朽化対策検討特別部会に提示した。骨子では、学校施設の老朽化対策として、従来の事後保全型から、予防保全型の管理への転換を目指すことが重要とし、改築より低コスト・低廃棄物の長寿命化を進める必要性を指摘した。
全国の公立小中学校施設の保有面積約1億6322万平方bに対し、経年25年以上の改修が必要な建物は9934万平方bと全体の7割を占める。さらに老朽化が深刻な築30年以上の施設は10年前と比べ2・5倍に増加している。
老朽化した施設が増加する一方、維持管理に投じる費用が減少傾向にある自治体が十分な対策をとっていないため、将来的に改修・改築のための費用や維持管理費が大幅に増加することも予想される。
中間報告の骨子では、学校施設の老朽化対策について、中長期的な計画を策定した上で予防保全型の管理に移行するよう提言。合わせて、60年か47年となっている鉄筋コンクリート造の校舎の法定耐用年数について「この年数は減価償却のための年数で、物理的な耐用年数は長寿命化の技術により可能」と指摘した。
改築・改修を進めるに当たっては、建物の償却年限や改修履歴だけでなく、建物の劣化状況など現状を的確に把握し、可視化することが重要とした。現状を的確に把握することで、改修・改築の優先順位を決め、整備対象を重点化することも求めている。
文科省は、8月中に中間報告をまとめ、予防保全型への転換や長寿命化の推進についての具体的な方策を盛り込む。2013年3月までに最終報告をまとめる予定だ。
提供:建通新聞社