「震災で建設業がどう活動したかを知ってほしい」―。そんな想いから福島県建設業協会(小野利廣会長)は、昨年3月11日に発生した東日本大震災での地元建設業界の活動をまとめた記録誌「東日本大震災レポート―復旧・復興の記録―」を作成した。地元の新聞で紹介され、一般の人からメールやハガキ、電話で「ぜひ欲しい」という声が相次いでいるという。同協会では、第二弾として、がれきの撤去や復旧作業に携わった建設会社の社員らから体験談を募集。ことし8月下旬には体験談の冊子を印刷し、一般市民らを対象にした発表会を行いたい考えだ。
冊子はA4判150ページ。3000部を印刷し、うち2000部を福島県、同県内の自治体、国土交通省などの関係機関、小学校や図書館などに配布した。残り1000部は一般の希望者に無料で配布する。
冊子では、襲来する津波の様子を捉えた写真や無残に破壊された街の様子をはじめ、がれきの中で警察と共同でがれき除去作業をする建設業者の姿、人命救助活動、応急仮設住宅を建設している様子―などをカラー写真で掲載。また、自ら被災しながらも震災直後からライフラインの復旧に取り組んだこと、ダンプも機械も足りなかったこと、電話など通信手段が絶たれ連絡がとれなくて困ったこと―など直面した困難・苦悩を紹介。資金繰り支援や将来雇用の不安解消といった今後に向けた課題や要望も挙げた。ともに活動した自衛隊や警察からは、重機操作で建設業界の貢献が大きかったとのコメントが寄せられている。
「東日本大震災レポート―復旧・復興の記録―」は全国建設業協会と各都道府県建設業協会にも配布している。
提供:建通新聞社