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2012/06/20

被災3県の労務単価を改定 宮城県は2・6%増

 国土交通省と農林水産省は、東日本大震災の被災地で建設技能者の労務費が上昇している問題への対応として、被災3県(岩手、宮城、福島)の公共工事設計労務単価を改定した。本年2月に改定した単価と比較すると、全職種平均で宮城県が2・6%増、福島県が1%増、岩手県が0・4%増となった。適用開始日は6月21日を予定している。
 被災3県では、復旧・復興事業の本格化に伴って労務費が高騰し、入札不調などの原因となった。このため国交省などは本年2月、建設市場単価や建設業団体による調査、厚生労働省の毎月勤労統計調査などを参考に直近の労務費の実態を把握した上で、11年度単価を補正。その際に、今後3カ月に一回程度のペースで単価を見直していく方針を示した。
 これを踏まえ単価の改定に当たっては、4月時点での状況を反映させた。県別の動向を見ると、宮城県では塗装工、大工や防水工、内装工などの建築関係や、潜水士などの潜水関係で上昇が目立った。一方、福島県では、特殊作業員や普通作業員、運転手(特殊・一般)など土木関係が上昇。これについて国交省は「作業員の確保をめぐり除染作業などと競合しているためではないか」とみている。岩手県は、前回の単価改定で動きが見られなかった電工や配管工、ダクト工、設備機械工が上昇した。
 また、国交省は今回から新たな試みとして、労務単価に法定福利費の事業主負担額や労務管理費、宿舎費を合算した参考値を公表した。労務単価に必要経費が含まれていないことを明確化するとともに、建設会社が労働者を雇用する際に必要な費用の目安を示すのが狙い。
 例えば、宮城県の普通作業員の労務単価は1万1800円だが、必要経費を加えると1万6600円となる。岩手県の交通誘導員Aの場合、労務単価7900円に対し経費込みでは1万1100円と試算している。
 ただし、これらの数値は国交省の10年度間接工事費等諸経費動向調査を活用して算出しており、遠隔地からの労働者の流入も想定していない。このため、工種や工事規模などの条件によって数値が変動する可能性が高いという。

提供:建通新聞社