政府は19日、東日本大震災を教訓にした災害対策の進展などを示した「防災白書」(2012年版)を閣議決定した。白書では、大震災の被害状況を踏まえて進めている災害対策の再構築について、特に南海トラフ巨大地震と首都直下地震の対策強化について記述。また、震災後に事業継続計画(BCP)を策定する企業が増加するなど、民間企業に「代替戦略」が必要との認識が浸透しているなどと解説した。
南海トラフ巨大地震については、内閣府が3月に震度分布と津波高の推計をまとめ、現在は中央防災会議のワーキンググループで人的・物的被害や経済被害の推計を検討している。今夏に当面実施すべき対策、今冬に対策の全体像をまとめる予定。国・地方自治体・ライフライン事業者などとの相互連携を高めるため、地域ブロックごとに対策協議会も設置している。
首都直下地震についても、ワーキンググループを設置して首都中枢機能の確保対策などを検討しており、今夏に当面の対策、今秋までに新たな震度分布や津波高の推計をまとめる予定だ。
一方、白書では、民間企業の震災後のBCPに対する意識の変化についても記載。内閣府が行った調査によると、BCPを策定したり、今後策定する予定の大企業は震災前の09年度に75%だったが、震災を経た11年度には94%まで上昇。中堅企業でも42%から66%まで上がった。
BCPを既に策定していても、代替施設・手段、非常用電源設備、代替調達先の確保などを追加・改善項目として考える企業も多い。白書では「早期復旧の戦略だけでは不十分で、代替戦略が必要と考える企業が増えている」としている。
提供:建通新聞社