国土交通省は、海外の建設技能者を育成する観点から、2012年度に外国人技能実習生の育成プログラムを構築することを決めた。実習生の効果的な選抜方法や現地教育、日本での実習、帰国後のフォローといった一連の流れを「人材育成プログラム」として明確化した上で、現地のリーダーとなり得る人材の育成に必要な施工管理などを盛り込んだ「技能実習プログラム」を作成する方針だ。
外国人技能実習制度は、開発途上国の経済発展や産業振興の担い手を育成するため、諸外国の若者を最長3年間産業界に受け入れ、必要な技能を習得してもらう仕組み。2年目以降の在留資格を得るためには、技能検定基礎2級などに合格する必要がある。11年度は3679人が建設関係の技能実習に申請した。
今回の取り組みは、国際貢献という主目的に加え、海外に進出する建設業が、現地で質の高い労働力を安定的に確保できるようにする狙いがある。現在の受け入れ体制では、基礎的な技能を身に付けさせる実習にとどまり、現地でリーダー役を務めることができる人材のレベルが担保できないという指摘もあるため、そのミスマッチを解消することも必要と判断した。
このため、まず海外に進出している大手ゼネコンや受け入れ先である監理団体などからのヒアリングを通じて、必要な人材の要件や人材育成の課題を抽出・分析。その上で、長期的な視点に立った人材育成プログラムと、学習内容や学習時間、教授内容を体系的に整理した技能実習プログラムをまとめる。
人材育成プログラムは、学識経験者やゼネコン、監理団体などで構成する検討体制を構築した上で作成。技能実習プログラムは、人材育成プログラムを前提として、工程管理・品質管理・安全管理といった施工管理面で現地のリーダーとなり得るカリキュラムを整備する。
国交省ではこれらの調査を担う主体を募っている。「日本企業の海外プロジェクト展開に資する技能実習促進に関する調査」に関する企画競争を15日付で公示し、7月6日まで企画提案書を受け付けている。
提供:建通新聞社