経済産業省・環境省・農林水産省が設置した「新クレジット制度の在り方に関する検討会」は18日、現行の国内クレジット制度とJ‐VER制度を統合する新クレジット制度についての報告書案をまとめた。2013年4月に温室効果ガスの排出削減量を取り引きする二つの制度を統合し、新クレジット制度に移行。報告書案では、J−VER制度で認めていなかった設備新設・増設による排出削減を新制度では容認する方向性を示した。 国内クレジット制度とJ−VER制度は、いずれも2008年度に創設された制度で、企業の温室効果ガス排出の取り組みをクレジット化する仕組み。国内クレジット精度は、中小企業が再生可能エネルギーや省エネ設備の導入で得た排出削減量をクレジット化し、自主行動計画を定める大企業が買い取る。一方、J−VER制度は、経済活動の中で生じる排出削減量を環境投資など別の手段で相殺する。
いずれの制度も制度開始から約3年が経過し、実績を伸ばしているが、12年度中にいったん終了することになるため、関係する3省では、合同で検討会を設置し、13年度以降の両制度の在り方について議論していた。
報告書案では、二つの制度の13年4月の統合とともに、統合後の新制度の在り方を提言。現在、国内クレジット制度が日本経済団体連合会の自主行動計画に参加していない企業からクレジットを買い取ることを求めてきたが、J−VER制度は対象者の範囲に制限を設けていない。新制度では、J−VER制度の仕組みを踏襲して対象範囲の制限を設けず、中小企業以外からもクレジットの買い取りを可能とする。
また、現行のJ−VER制度で認めていない設備の新設・増設について、国内クレジット制度で新設後の標準的な設備機器との排出量の差をクレジット化していることを踏まえ、設備新設・増設も認めることにする。
関係3省では、意見募集なども行って7月下旬までに報告書を最終決定し、12月以降に新クレジット制度の運営委員会で制度の詳細を検討する。
提供:建通新聞社