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中央ニュース

2012/06/18

復旧・復興の施工確保で追加対策 国交省

 国土交通省は、復旧・復興事業の施工確保に向けた追加対策を講じることを決めた。労務・資材価格が高騰した場合に見積もりを活用した積算を積極的に導入することや、遠隔地から労働者や資材を確保するための費用を設計変更などで対応することなどが柱。復興JVの活用を推進するため、被災地での工事実績が地元の工事実績に反映される仕組みも検討する。6月から順次適用を始める方針だ。羽田雄一郎国交相が15日の会見で表明し、同日の「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」に示した。
 東日本大震災の被災地では、復旧・復興が本格化するにつれて、技術者・技能者の不足や労務単価の上昇が顕在化した。この影響もあって、被災自治体が発注する復旧・復興事業などで入札不調の割合が激増。こうした状況を打開するため国交省は、本年2月に▽復興JV制度の創設▽技術者専任要件の緩和▽実勢価格を反映した公共工事設計労務単価の設定―などに取り組んだ。
 今回の追加対策は、今後、膨大な復興事業の発注が見込まれる中で、同様の問題が発生することを防ぐ狙いがある。主に市町村などの発注業務支援や予定価格などの適切な算定、技術者・技能者、資材の確保に向けた対策を進めていく。
 発注業務支援策としては、復興まちづくりを推進するためCMを活用した設計施工一括発注方式を試行する。具体的には、▽調査・設計と工事施工を一括で発注▽計画・調査段階からCMRが市町村を支援▽複数地区、複数事業を一括で発注―することで発注事務の負担を軽減する。羽田国交相は「東松島市と女川町(いずれも宮城県)でパイロット的に実施していく」と説明。早ければ7月にもCMRの公募を始める考えだ。
 予定価格などの適切な算定に向けては、直轄工事を対象に資材価格や労務費の変動が著しい特定地域で見積もり調査を実施し、積算に最新の市場価格を反映させる。見積もり調査結果は1カ月以内(労務費は数カ月以内)に発注する他の事業にも適用する。また、現地で労働者や資材の確保が難しい場合に備え、遠隔地から労働者や資材を手配するために必要な経費の手当てを設計変更によって対応可能とする。
 施工箇所が点在する工事の間接費をめぐっては、2月の対策で工事箇所が市町村をまたいでいることが要件とされたが、市町村合併でその面積が拡大されている実態を踏まえ、発注者の判断により市町村をまたがなくても間接費を工事ごとに算定できることとする。
 被災地以外からの現場作業員が増加すると、宿舎不足が深刻化する可能性があることから、作業員宿舎を建設する際の支援措置も講じる。建設業振興基金の債務保証制度や厚生労働省の建設雇用改善助成金を活用することで、建設業団体や事業協同組合、建設企業などが宿舎設置に当たり金融機関からの融資を受けやすいような仕組みを設ける。

提供:建通新聞社