復旧・復興事業に関係する国や地方自治体、建設関係団体で構成する「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」は15日に会合を開き、被災地での復興の本格化を見据えた対策の在り方について意見を交わした。この中で被災自治体や建設関係団体からは、国交省が打ち出した追加対策を高く評価しつつ、さらに踏み込んだ取り組みを求める声が相次いだ。
連絡協議会は、被災地で建設技術者・技能者不足や労務賃金の実態との乖離(かいり)を原因として、入札不調が激増している問題に対処するため、2011年12月に設置された。
15日の会合では、被災地での復旧・復興事業の不調発生状況や事故発生状況を明らかにした上で、国や被災自治体による施工確保に向けた取り組みの現状を提示。さらに▽市町村の発注業務支援▽予定価格などでの適切な算定▽技術者・技能者、資材の確保―に向けた国交省の追加対策を説明した。
意見交換の中で、福島県土木部技術管理課の浦山悦雄課長は「被災地では復旧・復興事業の執行に当たりさまざまな課題に直面している」と述べ、被災3県・仙台市の共通要望を読み上げた。具体的には▽技術者専任要件のさらなる緩和▽技能職種での統一単価の設定▽除染やガレキ処理、民間工事を調査対象に含めるなどの労務費調査制度の見直し▽スライド条項の事務手続きの簡素化▽資材確保のためのプラントの設置支援―などの必要性を指摘した。
また、東北建設業協会連合会の大槻良子専務理事は「大震災からの復興は有事(への対応)であるにもかかわらず、平時の契約方式が採用されている。有事であるということを前提に低入札価格調査基準価格の引き上げなどを検討すべき」と強調。全国建設業協会の富田和久技術顧問は「労務費や資材価格の高騰に設計変更で対応することは高く評価するが、実際に運用する際に設計変更を認めるかどうかでバラツキが生じないようにしてほしい」と訴えた。
提供:建通新聞社