中小企業庁は、業況が悪化した業種の中小企業に100%保証を与える緊急保証制度について、金融機関別の代位弁済や保証債務残高の11年度実績をまとめ、14日の民主党財務金融部門・経済産業部門合同会議に提示した。企業が債務を返済できなくなった際、信用保証協会が債務を肩代わりする代位弁済については、全体の7割を100%保証が占めた。代位弁済額が多い金融機関の上位10行ではメガバンクや地方銀行が大半を占める一方、関西の信用金庫2金庫も含まれた。
緊急保証制度は、業況の悪化した中小企業の資金繰りを円滑にするため、リーマンショック後の08年10月に創設された。中小企業が融資を受ける際、信用保証協会が債務を100%保証する仕組みだ。同制度に対しては7日に行われた行政事業レビューで、金融機関の審査の在り方を疑問視する指摘を受け、事業を抜本的に見直すことが求められていた。
今回、中小企業庁がまとめた緊急保証制度の11年度実績によると、100%保証に対する金融機関の代位弁済件数は5万7050件、代位弁済金額の合計は約6406億円に上った。全体の代位弁済金額に占める100%保証の割合は74・4%に上っている。保証債務残高約34兆9780億円に対する代位弁済金額の割合(代位弁済率)は2・5%だった。
代位弁済金額が多い上位10行は▽みずほ銀行▽三菱東京UFJ銀行▽三井住友銀行▽りそな銀行▽埼玉りそな銀行▽静岡銀行▽近畿大阪銀行▽関西アーバン銀行▽大阪信用金庫▽尼崎信用金庫―となった。
行政事業レビューでの評価結果や税負担による代位弁済額の増加を受け、中小企業庁は10月以降に緊急保証制度の対象業種は縮小する方針だ。
提供:建通新聞社