国土交通省は、下請けに対する適切な工事代金の支払いを担保するため、直轄工事で「下請負人の見積を踏まえた入札方式」を試行することを決めた。入札参加に当たり、元請けに下請けからの見積書を提出させ、その金額を上回る下請け契約の締結や支払いを求める仕組みを想定。見積もり金額を下回る契約や支払いがあった場合には、建設業許可部局による指導を行う。こうした行為が建設業法違反と認められれば、発注者による指名停止や工事成績評定点の減点の対象となる。これらの試行方法を11日付で各地方整備局などに通知した。
この方式は、元請けによる下請けへの不当なしわ寄せを防ぐことが狙い。試行対象は特定専門工事審査型総合評価方式の対象工事で、具体的には法面処理工、杭基礎工、地盤改良工、海上工事のいずれかを含む専門工事の重要度が高い工事(特定専門工事)とする。
試行に当たっては、入札参加者(元請け)が特定専門工事を行う下請けから見積書をもらい、入札書の提出期限日までに発注者に提出。その上で見積金額以上の金額で下請け契約を締結することを工事請負契約書で義務付ける。また、元請けには下請けに対する支払い報告書を支払い完了から14日以内に提出する義務も課す。
発注者は提出された資料をチェックし、見積額を下回る契約を結んでいたり、下請け契約額を下回る支払いを行っていたりしたことが判明すれば、元請けに対し理由書の提出を求め、その理由が不適正であれば是正措置を講じるよう指導する。
これに従わない場合には建設業許可部局に報告。最終的には建設業法に基づく監督処分などにつながる可能性もある。
今回の通知は7月1日以降に入札手続きを始める工事から適用する。国交省では「今後、試行対象工事を数件程度抽出していく」方針だ。
提供:建通新聞社