国土交通省の「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」は8日の会合で、調査・設計分野の品質確保に向けた2012年度の実施方針を決めた。業務の発注方式をめぐっては、計5種類に細分化されている現行方式の再構築を検討する。設計成果の品質確保に向けては、一部の詳細設計業務で条件明示チェックシート(案)の活用を試行。設計業務を効率化・簡素化するため、技術提案書提出者数を限定する試みも継続する。
この懇談会は、直轄の調査・設計業務の品質を高める観点から、入札契約方式の在り方や設計成果の品質確保に向けた方策などを幅広く議論する場として設置された。
8日の会合で決めた実施計画によると、本格導入から4年目を迎えた調査・設計分野の総合評価方式を中心に契約方式全般の妥当性を分析・整理することにした。
現行の契約方式は、プロポーザル方式、価格競争に加え、価格評価と技術評価の割合が1対1、1対2、1対3に区分された総合評価方式の計5方式で運用している。このうち、総合評価方式について、よりシンプルな形に見直すことも視野に入れている。
設計成果の品質確保では、発注者の責務である条件明示の徹底のため、一部の詳細設計業務で条件明示チェックシート(案)の活用を試行。確実に条件明示ができるよう、業務発注の決裁前に副所長や発注担当課長、調査職員らが「設計業務の条件明示検討会」を必要に応じて開く考えだ。
こうした取り組みでも効果がない場合には、設計中に第三者が内容を照査する「社外第三者照査」や、設計後の内容を点検する「クロスチェック」など、新たな照査体制の導入も検討する。照査に要する経費の積算への反映も見込んでいる。
業務の効率化・簡素化については、技術提案書提出者数を10者から5〜7者に絞り込む試行を継続した上で、その効果を検証するため受注者に対するヒアリングやアンケート調査を実施する方針だ。
提供:建通新聞社