国土交通省は、直轄の調査・設計業務で低入札対策を強化するための検討を本格化させる。一部の地方整備局が試行する「実施方針確認型」や「品質確保基準価格」の効果を見極めた上で、これらの仕組みを全国で導入できるかどうか判断する。さらに低入札を繰り返す者に対し、サッカーのイエローカード・レッドカードのような仕組みや、交通違反点数と同様のポイント制度を用いてペナルティーを強化するアイデアも浮上している。8日の「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」でこうした考え方を示した。
調査・設計業務の低入札をめぐっては、2007年10月に予定価格1000万円超の業務で低入札価格調査制度を本格導入し、その後もテクリスへの低入札情報の入力、手持ち業務量の制限といった取り組みを展開。10年度には2000万円を超える総合評価方式対象業務に履行確実性調査を取り入れ、11年度からはその対象を1000万円超に拡大した。
11年度上半期の低入札発生状況を見ると、一連の取り組みによって予定価格1000万円を超える総合評価方式での低入札は発生率が0・7%とほぼ解消された。一方、1000万円以下の業務や1000万円超で価格競争の業務は、発生率が3割前後と高い割合を示している。
このため、各地方整備局の中には独自の取り組みを進めているところがある。例えば、関東地方整備局では、価格競争で実施していた業務の一部を対象に実施方針確認型総合評価方式を12年度から試行。低入札者に対して実施体制を確認し、業務理解度や実施手順、工程表の評価項目を満点か0点の2段階で評価することにした。
中部・近畿・中国・四国の4地整では、予定価格が1000万円未満の業務の一部に対し、低入札価格調査基準価格と同様の「品質確保基準価格」を試行的に設定。この価格を下回った場合には調査を実施し、履行されない恐れがあると認められれば失格にする仕組みだ。
国交省では、12年度にこれらの取り組みの効果を検証し、13年度以降に全国展開するかどうかを判断する。同省大臣官房技術調査課の越智繁雄課長は会合の中で、「低入札を繰り返させないという視点が必要。例えば、(サッカーの)イエローカード・レッドカードや、(交通違反点数のような)ポイント制など、いろいろなアイデアを検討していきたい」と強調した。
提供:建通新聞社