建設経済研究所は、2011年度の主要建設会社の決算分析をまとめた。大手・準大手・中堅40社の連結売上高は前年度比3・7%増の11兆8305億4600万円で、2007年度以来4年ぶりに増加した。単体受注高も5・9%増の9兆7626億5100万円と5年ぶりに増加。東日本大震災の復旧工事や海外受注を増やした大手が堅調だった一方、受注競争が激化している中堅には大きく受注を減らした企業もあり、同研究所では「二極化の傾向は続いている」とみている。
工事種類別の受注高は、土木工事が震災復旧工事の影響を受けて25・2%増の2兆6990億2400万円。総計としては大きく増加したものの、受注減の企業も40社中14社あり、がれき処理への参入など震災復旧工事の受注が明暗を分けた。
これに対し、建築工事の受注高は0・5%増の6兆8460億9000万円と微増にとどまった。発電施設関連など震災復旧需要もあったが、震災後に新規建築投資を見送るケースも多く、準大手や中堅では半数程度が受注高を減らした。
企業規模別の受注高は、大手が7・9%増の5兆1658億4500万円、準大手が5・5%増の2兆7856億8500万円、中堅が1・1%増の1兆8111億2100万円。12年度予想は、大手が0・2%減の5兆1570億円、準大手が0・3%増の2兆7905億円、中堅は非公開企業が多く予想を公表している14社の集計で6・1%増となっている。
売上総利益率(連結)は0・7ポイント減の7・5%。大手が0・3ポイント減の8%、準大手が1・7ポイント減の6・7%、中堅が0・9ポイント減の7・1%となった。準大手と中堅で利益率が大きく悪化したことに加え、一部で工事や不動産関連事業の大幅な採算悪化が影響した。
建設経済研究所は11年度決算について「受注競争の激化が中堅に大きな影響を与えている」と分析しており、震災復旧工事の受注などで「地域特性などで受注を有利に進めている中堅と、そうでない中堅との間に差が出始めている」とみている。
提供:建通新聞社