政府は7日、府省版事業仕分けの「行政事業レビュー」をスタートさせた。初日の7日は、経済産業省の所管事業を対象に仕分けを行い、中小企業の資金繰り支援のうち、中小企業向け融資に100%保証を与えるセーフティネット保証5号などについて、抜本的見直しを求める評価結果を下した。商店街の集客施設の整備費などを支援する「戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助」については、事業の廃止を求める結論を出した。
中小企業の資金繰り支援の仕分けでは、業況が悪化した業種に属する中小企業に100%保証を与えるセーフティネット保証5号の在り方に議論が集中。セーフティネット保証5号は2008年のリーマンショック以降に業種指定を政策的に拡大させ、10年2月からは原則全業種を対象に100%保証を与えている。
ただ、100%保証について金融機関の融資審査が甘くなっているなどの指摘があるほか、保証を利用せず、自らリスクを負担する代わりに金利を高く設定する金融機関も出始めている。
経産省では、10月以降に指定業種を見直す方針を打ち出しているが、行政事業レビューの評価人も「(100%保証が)金融機関と中小企業のモラルハザードを引き起こしている」などと問題視し、事業の抜本的な改善を求める結論を示した。
一方の戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助金は、商店街や中心市街地を活性化させる集客施設などの整備を補助する事業で、12年度予算には総額28億8000万円を計上。事業仕分けの指摘などを受け、09年度と比べると予算額は50%以上削減されている。
評価人から「補助金の受益者が特定の事業者に限定される」「国が関与すべき事業とは思えない」などの意見が多数を占めたことから、7日のレビューでは事業の廃止を求める評価結果をまとめた。
7日に始まった行政事業レビューは、21日まで14府省庁90事業を対象に実施される。評価結果は、各府省の13年度予算の概算要求に反映させる。
提供:建通新聞社